やさしい世界に降る銃弾

復活　　(ツナ/ミルフィオーレ/ボンゴレ/ダーク)

「渡さないよ、今度こそ君達には」


幼き大空を抱えながら、白蘭は目の前で辛そうに息をしている彼らを見据えた。
白蘭の後方には入江正一を初め、ホワイトスペル・ブラックスペルの者達が立っていた。

正一、ユニ、γが一歩前に出て白蘭の斜め後ろに立つ。

「君達は僕達のものになるはずだった彼を殺したんだ」
「彼はお前達を助ける為に、こちらに来るはずだった」
「それを、君達は殺した。己から離れていくからと」
「身勝手な願いだねぇ。彼の心も知らず」

それぞれの言葉が、息も絶え絶えな彼らに捨てられる。

「ある種の、愛だね。沢田綱吉の君達への愛情。そして君達の沢田綱吉に対する愛情…まぁ、君達は歪み過ぎてる気がするけどね」
大事そうに綱吉を抱えた白蘭は笑っていた。

「彼を守る為に、僕達は絶対権力を得る」
正一が眼鏡を押し上げながら、冷たい瞳で見やる。

「彼を生かすこともせず、彼を奪われたくないからと奪った。そんな貴方達なんていらない」
ユニは表情は何時もと変わりないはずなのに、紡がれる言葉は何処までも嫌悪を含んでいた。

「たく、嫉妬は醜いねぇ。自分たちが何をしたかも気付かなかったのか？」
軽い調子でγは口にするが、その背後には怒気がありありと浮かび上がる様であった。



咳き込む音、何かが焼ける臭い、半壊の部屋、広がる鉄の味


五感のう4つは憎々しい者達との戦闘の痕であった。
だが、唯一手に抱く、傍にある伝わる温度がとてつもなく優しいもの。



「ねぇ、君達にはもう彼に会う権利なんてないんだ。君達が彼を殺した」

「確かに、君達を守る為に誘ったのは此方だけど、彼は選んだ。そして生きるつもりだった。僕達だって殺すつもりなんてなかったんだよ？」

まるで世間話をするような軽い口調で白蘭は言葉を続ける。

「それでも、君達はそんな彼を殺した。ねぇ、その時の彼の絶望はどれ程だったんだろうね？仲間に殺され、裏切られたと思ったかな？どうだろうね？」

誰もが視線を逸らさず、冷たい目で転がる彼らを見やる。

「優しい彼は、それでも君達を守りたいと思ったのかな？でも、もう彼は渡さないよ。君達になんか絶対。僕らが大切にするよ」


だから


「Addio」







＝＝後書き＝＝
目覚めた時、君に優しい世界にしておくね。
だから、ゆっくりお目覚め、ツナヨシ君。


唐突に思い付いた。
ツナは銃で撃たれた、から。
ボンゴレが逝き過ぎた愛、ミルフィオーレが優しい愛。
こんなのも、いいかな…と。