愛情を固めた君

TOA　(ピオニー/独白)

アイツは俺の手をとったことなんて一度もなった。
最初会った時からアイツは俺を気に食わないみたいだった…気に食わないんだろう。今でも。
今では会うことすらほとんどないが、会えばきっと昔と変わらぬやり取りだろう。
真ん中にいる相手は溜息ばかりだろう。

誰も知らないだろうが、実は俺もアイツが苦手だった。
いや、先生は知っていたのかもしれないな。
だけど、俺はアイツみたいな愛なんてしらない。

いつも二言目には「ジェイド」って。
アイツみたいにたった一つを思い続けることなんて俺には出来なかった。
ジェイドも、ネフリーも、先生も、アイツも…俺は全部手にしたかった。

ただ、羨ましかった。
俺はアイツみたいに一人を追いかけて生きることも出来ない。
一つと決めたものに、それだけを生きがいに生きていくことなんて出来ない…しなかった。



だから、またアイツとあったら同じやり取りだろう。
それがアイツと俺の関係。



だろ、サフィール。






＝＝後書き＝＝

嫌いじゃないけど、わからない。
お前の愛の形が、羨ましい。