哀しくなんかないのに

遊.戯.王　(バクラ/遊戯/本編沿い？/切ない)


 

「おい、遊戯」
「なあに、バクラくん？」

彼が現れるのは、いつも僕一人のとき。
城之内君やもう一人の僕だったら絶対に何か起こすだろうし、僕は実は彼のことが嫌いじゃない。
好きかといわれれば、ちょっと悩んでしまうけれど。

「お前が器であることなんて、それこそ三千年前から決まってた恨まないのか？」

彼の言葉はいつだって真っ直ぐだ。
やさしさなんて欠片も含まない、それがきっと彼の優しさ。
甘えることはできない、逃げられないそんな強さ。

「恨む、か…」
「そうだ。何せお前は街を歩けばあいつに間違われ、色々巻き込まれて命だって何度捨ててる」
「確かにね。でも、恨むって…誰を？」

そう、恨む。
もう一人の僕をか、千年アイテムを創った彼の父か、全ての元凶のゾークか、王になることを望んだアクナディンか、盤上をかき回した彼か。

「いもしない神を恨めば、それで満足？」

恨むことなんて、できるはずがない。
だってあの世界には、僕なんて存在はどこにも無い。

「あぁ…お前は確かに『王の器』だよ」





哀しいなんて、気付きもしない。






□■後書き□■

結局、王の器である遊戯には一切触れられなかったなぁ…と思ってます。
ある意味転生した魂や、封じられていた彼はいいんですが『器』であることは、かなり初期からわかってたのに何も定められていたものではない。
誰にだってそういった大きな存在になれる、というのと三千年という長さがそれが奇跡的なもの、稀であるってことだろうかと思った。


自分の中のYGOのCPを整理したらトップ3はセト表、亮表、バク表。
セトは神官のセトです。茨道とかいわない。亮(カイザー)だって茨道(ｒｙ
バク表は比較的ありそう。ちなみに次点は海表です。わりかし闇表は下です(どこだろう？)



涙に関する5題　(追憶の苑)