何時かの君に

デ.ジ.モ.ン（太一/コロモン/未来）

 

―――　　ハ、　　ニ……――

――　ボ　　ハ　、　　　　ニ　　イ――



太一は、穏やかに揺れる海沿いを一人、歩いていた。

静かに揺れる波に、ポツンと浮かぶひとつの卵。
そう、デジタマ。淡い光をもって、誰かに語りかけるような。

波間に揺れるそれを見つけた太一は、驚きそして、濡れるのもかまわず海へと入っていく。
「あぁ……ここに、いたのか」
微笑みながら、しゃがみこんでゆっくりと腕に抱きしめる。

そう、抱き上げたそれはまだ、なにが目覚めるかわからぬ…けれど太一は知っていた。
優しく、早く出ておいでと願いを込めて撫でる。



ポンッ

腕の中で音を立てて生まれたボタモンはきょろきょろと周囲を見て、抱きしめている太一の顔をみた。
そして、嬉しそうに泡を吹く。

「やっと、やっと会えたな」
太一はぎゅっと、抱きしめる。


――ボク　　　、　コ　ニ　　ルヨ――
――ボクは、ココに、イルヨ―――


「ボクはここに、いるよ」
「あぁ、久しぶりだな。おかえり」
「ただいま、太一」
互いを優しく抱きしめる姿を、穏やかな風と海、そして太陽だけが、遠い過去の仲間との再会を彩っていた。


「また、よろしくなコロモン」
「もちろんだよ、タイチ」


もう会えないと思っていた、彼は彼ではなくなってしまうと。
けれどもこうして、再び会えたのは奇跡だろう。



□■□あとがき□■

間に合った…！デ.ジ.モ.ン.の8月1日記念。
何を書いたのかわかりにくいので、説明。
太一は、デジモン（アニメ）が始まる前に出会った、コロモンを探していた。
そして、再会し太一のことを覚えていた。
共に歩む、仲間として。（そのうち、ブラックォーグレイモンもなるかも）