何時か集おう、友よ (彩雲国)

「おい、秀麗」
「あら三太じゃない。早いわね」
「三太はいい加減にやめろって！ってそうじゃなくて…」
「わかってるわよ。花も買ったし行きましょう？」
「あぁ」


「静蘭、いいのかい？秀麗殿と彼を二人きりにして」
「というか、どうしたんだ？お前が何もしないなんて」
「……今日だけは、許しますよ」
「何でなのだ？」
「―――二人は墓参りに行ったのですよ、主上」
「墓参り？秀麗殿のお母様のですか？それなら、なおのことお二人も…」
「いいえ、違うんです」
「じゃあ、誰の墓参りだっていうんだ？」
「…秀麗と慶長君と同世代の子供たちの、ですよ」
「同世代の…？どういうことだ？」
「8年前の王位争いで、あの子と同世代の子供はみな死んでしまったのです」
「慶長くんはその時貴陽から離れていたので、無事でした。…だから、あの子だけなのです」
「………だから、ですか」
「そういえば、秀麗と近い年頃の貴陽出身者はほとんどいないな」
「……秀、麗…」



「みんな、元気？ほら、今年も花をいっぱい持ってきたわよ」
「握り飯と菓子もな」
「あの頃、見ることも出来なかったものが今年もあるわ」
「お前たちだって、食べたいだろ？だからな」
「私たちは、まだ一緒にいて花見をしたり食べたりできない」
「でもさ、俺たちがいったら一緒に食おうな」
「だから、また来るわね」
「あと数年したら、酒だって持って来てやるからな」
「じゃあね」
「またな」





遠ざかる二人の後姿を多くの子供たちが見守っていた



＝＝後書き＝＝
うぃきとかで調べてみたら、三太以外の秀麗ちゃんとの同世代がいない…ということで。
どこで、でたのか知らないが…読んだ時に変だったら下げるやも。
詳しい背景とか、よくわからない。官吏になる前か、茶州行く前…かな。

僕らは、まだ君達のところへいけないけれど、
何時か先で、共に花を見、菓子を食べ、酒を交わそう