01 揺らぐものは儚いと諦めていた

幸福論


遊戯王　　

GX最終回までの一週間で書き上げ(連作)
総タイトルは完成後。
各タイトルはサブ。

「ドロー！俺は……」

「罠カード発動！このカードは……」




互いの全力を尽くした決闘。
勝者は、決闘王の名を持つ武藤遊戯であった。
互いの距離を縮め、握手を交わす。

「ありがとう御座いました！」
「僕の方こそ、楽しいデュエルだったよ。ありがとう」


十代は悔しそうに…だが、嬉しそうに笑っていた。
遊戯も、笑いながら握手を交わす。


「…ねぇ、君はデュエルが好き？」
「え…？」
「あ、ごめんね。急にこんな質問」
「いえ…でも、なんでそんな質問を？」
「なんとなくだけど…そうだな最初は君、楽しむというより『絶対勝たなきゃ』って使命感の様にデュエルをしてたから」
「使命感…ですか？」
「そう。僕もね、絶対に負けられないデュエルを何度もしたことがある…自分や人の命を賭けたような」
「…！……」
「それでも、今の君とのデュエルは命を賭けるものでなくても、全力で戦えて…すごく、楽しかった」

遊戯の視線に、十代は言葉を詰まらせる。
デュエルアカデミアに入って、普通のデュエルもあったが様々な不思議な出来事で命を賭けるデュエルをどれ程しただろう。
仲間のものも、相手のものも、自分のすら…。

「とても、怖いことだと思う。命は一つしかない欠片(ピース)…失わせられない」
「…はい」

遊戯は自分と同じような決闘をしたという…なのに、何故彼はそれを語れるのだろう。
自分は、それを決して仲間に言おうとは思わなかった。
それなのに、名前も知らない自分にその話を…


「でもね、終わった後に『こんなことがあった』って言えることも大事だと思うんだ」
「…そんな、危険なことを人に…ですか？」
「そう、人の命は重い。それを守っても『守った』ということは重い筈だ」
「・・・・・・・」
「だからね、自分を信頼して心配してくれる仲間に話して、少しでも相手と分かち合うことも大切だよ」
「分かち、合う」

「そう、勝利した時の喜びも、負けて悔しかった思いも…」
「悲しみも、ですか」
「うん」

十代は影が出るような目で遊戯をみた

「それは、その人の負担になるんじゃないですか？」
「人によってだけれど…信頼している僕の仲間はね…」


「みんなはね、自分の事の様に喜んでくれたり、悔しがってくれたり…泣いてくれた」

十代は驚きに目を開いた

「仲間、君にもいるでしょう？」


遊戯が、優しく微笑みながら真っ直ぐに十代に視線を合わす



＝＝後書き＝＝
やってしまったーーー；；
別ジャンルで日参サイト様で同じようなものをやっていました…おぉ、すいません。
とりあえず、捏造。

十代が失ったもの、私は何かはよく知らない。
でも、彼は取り戻す欠片となる。