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2007.10.29. 開設  日々徒然と二次創作、オリジナルなどを書いていこうかと。  コメント大歓迎、荒らし厳禁。 詳しくは説明にて。
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幸福論


遊戯王  

GX最終回までの一週間で書き上げ(連作)の番外。
総タイトルは完成後。
各タイトルはサブ。


+ + + + + + + + + +


卒業式も終わり、生徒達は別れを惜しみ、未来への希望を語りながら過ごしていた。

「アニキ、何も言わずに言っちゃったね…」
「ほんと兄貴には困ったものだドン」
「あいつのことだ、大丈夫だろう」
「そうね。十代だもの」
「十代様だからこその心配はあるけどね」
「それは確かに」

やや中心から離れたところで翔、剣山、万丈目、明日香、レイ、吹雪が卒業式後いなくなってしまった十代を思い、やや困った顔をしながら話していた。

「大丈夫だよ、十代なら」
「そうだな。何か問題を起こしそうではあるが」
「するだろうな」
「あぁ、アイツなら」
「むしろ、起こすだろう」

彼等を見送る為に来ていたヨハン、オブライエン、ジム、亮、エドが笑いながら十代が何を起こすかと考えて会話に混じる。

「まったく、最後までドロップアウトボーイらしいの~ね」
「まぁまぁ、彼らしいではありませんか」
「アカデミアでに色々きそうなのであ~る」

クロノスが少し悲しそうに、鮫島が宥める様に、卒業式を見る為に来ていたナポレオンが溜息を吐きながら肩をすくめる。




「おーーい!みんなーー!」

そこに、それぞれが思っていた人物…遊城十代が走りながら大きな声で叫んでいた。
その姿に驚きながら、名前を呼んで駆け寄った。

「みんなに伝えたいことがあるんだ」
「俺、旅に出ることにしたんだ」

十代は決めていたことを、告げた。
誰にも告げず、けれどわかってる者たちはいたことを。

「旅…行き先は?」
「決めちゃいない。けど、行くことにした」
「辛いぞ?大丈夫なのか?」
「わかってる。けど一人じゃない、大丈夫さ。」
「精霊たちと一緒ということか?」
「もちろん精霊たちも一緒だ、それに」


十代が何か言おうとした時、突如万丈目の横から声が上がった。
おじゃまイエローが十代の驚きに身を震わせながら叫んでいたのである。

『アニキ~~!!大変ですよーー!!』
「なんだ、うるさいぞ!」

精霊が見える十代、万丈目、エド、ヨハンは驚いてそちらに目を向けると十代の後ろを指差していた。

『デュ、デュ、デュ…デュエルキングがいるんですよーー!!!!』
「お前、何をいって……」

おじゃまイエローが指差した方向に四人が顔を向けると十代を除いた三人が、驚きに目を見開き固まってしまった。

「どうしたん……」

三人の様子に彼らが向いた方向に周りの者も目を向けるが、同じ様に固まってしまった。


「ばれちゃったかな」

暗闇からゆっくりと歩いて光のあるところにでた姿は、確かにキング・オブ・デュエリスト…武藤遊戯の姿であった。


「遊戯さん!」
「ごめんね、邪魔しちゃって」
「そんなことありません!」

十代が嬉しそうに遊戯に声をかけ、遊戯は苦笑しながら謝罪をした。
けれど十代は気にせず、むしろ目を輝かせていた。


逸早くその呪縛から抜け出したのは、プロデュエリストであるエドと亮であった。

「ちょ、ちょっとまて十代!お前、なんで決闘王である遊戯さんを知ってるんだ!?」
「何言ってるんだよ、エド。お前だって知ってるだろう?」
「そういうことを言ってるんじゃない!お前がなんで知り合いなんだ?」
「確かに、気になるな。遊戯さん、貴方は遊城十代と知り合いなんですか?」

二人は心を抑えて訊ねようとしたが、言葉の端々に隠しようのないものがでていた。
決闘王でありながら表舞台には殆ど立たず、プロである自分達すら会うことはあまりないのに、いくら強いとは言っても卒業したばかりの十代が憧れの武藤遊戯と知り合い…というのは悔しいらし。
羨ましいや、ずるい…などあまり二人に似合わない言葉が回っていた。

「ハネクリボーあるだろ、あれ俺がここに入学する日に遊戯さんから貰ったんだ!」
「初めて会ったのはそれだね。さっき、十代君と卒業デュエルをしたんだ」

二人が笑いながら答えると、ようやく呪縛から解き放たれ、そして勢いよく十代に詰め寄る。

「お前、決闘王からカードを貰っただと!?ずるいぞ!」
「アニキ、そんなこと一言も言ってなかったじゃないか!」
「ずるいドン!」
「そうよ!!」
「十代様ひとりずるいわー!」
「羨ましいぞ!」
「だからハネクリボーなんてカード私もしらなかったの~ね!」

「卒業デュエルって…まさか遊戯さんとしたのか!?」
「なんて羨ましい…」
「抜け駆けじゃないか?」
「全くだ」
「本当にな」
「どれだけのデュエリストが望んでいることか…」
「私も羨ましいのであ~る」

「そ、そんなこと言ってもさぁ…」

詰め寄られた十代は、やや逃げ腰になりながら口は引きつっていた。
遊戯は、その光景に笑っていたが、ふと十代に視線を向ける。


「十代君」

静かに名前を呼ばれた十代は、遊戯をみた。
遊戯は静かに頷いているだけだった。


「あのさ、みんな聞いて欲しい」

十代の言葉に、騒がしくしていた彼等も波が引くようにゆっくりと静かになり十代に視線を向けた。



「俺、みんなに話すことは駄目だと思ってた」

「負けたらみんあ失われるって、絶対駄目なことだって。みんなの重荷になりたいと思ってた」

「みんなを信じたいって思ってたのに、ずっとずっと伝えられなかった」

「まだ、仲間って呼んでくれるか?呼んでも、いいか?」


十代の眼差しは不安で揺れていた。けれど、強い意志あった。

明日香と万丈目は勢いよく息を吸って十代に頭を叩いた。


「当たり前だ!何を言ってるんだ!!」
「当たり前でしょ!今更なこと聞かないで!」

他の者達は何も言わず、けれど瞳が語っていた。
そして、「馬鹿」や「当然」と十代の頭を叩いていた。

十代は痛みからではない涙を、流して笑っていた。


遊戯とユベルは静かに微笑み合っていた。

ある程度気が済んだのか、十代に向けられていた視線は遊戯へと移っていた。
遊戯は一歩踏み出した。
全身から滲み出るオーラは確かに王のものであり、そして優しさが含まれていた。

「今更ですが、改めまして。武藤遊戯です」
「こちらこそ、デュエルアカデミア校長、鮫島です。お会い出来て光栄ですデュエルキング」
「デュエルキングはやめて下さい。私はそうである前に一人のデュエリストです。あぁ、海馬くんに許可を貰い、展示されていたデッキは預かりました」
「そうですな。デッキはもちろんです。受け取る生徒が3人で、しかもどの者もいらないと言ったのですよ」

鮫島の言葉に万丈目、明日香、翔はやや照れた様に笑っていた。

「いいんではないでしょうか。もちろん受け取っても構わないです。それを参考にする事だってあるでしょう。けれど、一人ひとり悩み作り上げたデッキは、どんなデッキよりも一番なんです」

遊戯の言葉は、己のデッキが誇りであると、まるで伝えるかの様であった。

「それに、このデッキは今の主力デッキではないんです」
「主力デッキでは、ない…どういうことですか?」

遊戯の言葉に逸早く反応し、エドが身を乗り出す様に訊ねる。

「このデッキは第一回デュエルシティに使ったデッキだから」
「確かに、長期間デッキを手放すことは、難しいですからね」

亮も同じ様に一歩前に出て同意する。
二人の姿に笑いながら遊戯は頷いた。


「それにしても、彼等のことはTVや話などで聞いたからですかね…初めてな気がしないですね」
「私達の方こそ、貴方の姿はそれは多く拝見しているんですよ」

表舞台に立たないとは言っても、今までの戦歴はどのデュエリストよりも上の遊戯。
メディアやデュエリストの中で話題が絶えることはない。




ズギューーー


上空から響いた音に全員が驚き上を見上げた。
そこには、どこか見たことのあるデザイン(実際よりもやや変わっているので断言は出来ないが)の戦闘機が上空を飛んでいた。

「な、なんだぁ?」


巨大スクリーンに突如映像が映し出され、

『遊戯ーーー!!貴様ようやく見つけたぞ!』
『今度こそ逃がさないからなー!』

海馬瀬人…武藤遊戯の永遠のライバルであり、デュエルアカデミアの理事長、KC社長がそこに映っていた。
声のみだが、弟で副社長である海馬モクバの声も聞こえてきた。
映像からすると…戦闘機に乗っているのは彼等のようであった。


「あー…海馬君、やっちゃったね…」

呼ばれた本人は、やや困った様に眉を下げながら苦笑いをしていた。
しかし、海馬が遊戯の名前を呼んだことにより、遊戯の存在に気づいていなかった者達にも存在が知られることになる。
あちこちから「え、遊戯って武藤遊戯?」や「え、ここにいるの?」など声が上がっていた。



今度は地上から、何か大きな音がしそちらの目を向けると幾つかのライトが港から上がってくるのが見えた。
距離があるはずなのに、バイクの音にも消されず叫び声が聞こえてくる。

「遊戯ーーー!!お前何処いってたんだよ!」
「やっと見つけたわよ!」
「探したんだぜ!」
「遊戯君、今度は逃げないでよー」
「D・D・Dの新作もできたんだ、遊戯君もやろうよ!」

遊戯の名前を呼ぶ彼等…遊戯が共に過ごしてきた仲間である城之内、杏子、本田、獏良、御伽であった。
アカデミアに遊戯がいる…との情報を得て、それぞれが急いで向かったのである。


「みんなまで…。すみません、騒がしくしてしまい」
「い、いえ…」

呼ばれた本人は騒ぎの中心であるのが自分というのを自覚しており、頭を下げた。
けれど、この騒動と中心の遊戯の様子に周囲は内心汗をかいていた。


そしていきなり遊戯が十代に歩み寄り、声を掛けた。

「急がなくちゃいけなくなったね。行こうか?」
「は、はい!!」

遊戯と十代は自分達の荷物を担ぎ、森に向かって走り出した。
二人の急な行動に驚きながら、ヨハンが叫ぶ。

「何処に行くんだ!?」

「俺、遊戯さんと旅することにしたんだ!だから、またな!その時はまた色々話そうぜ!」
「俺もみんなとデュエルをしてみたいし、話してみたい!じゃあね!」


二人は笑顔で叫び、木々で空からは見えぬず、バイクが入って来れない森に駆け込んでいった。
周囲の者達は、二人が去っていった方向を見ながら、響く音と声に呆然としていた。






『十代くんが一番役得なのにゃ~』

魂の状態で呟いた大徳寺の言葉は、誰にも聞かれることはなかったがその場にいたもの全員の心を代弁していた。








再会した時、彼等は変わらぬ鮮やかな笑みを見せた。
それだけを、ここに記しておく。



fin.


==後書き==
鮮やかに笑う君。
何時か追いつき、追い越したい。


やりたい放題、詰め込みました!!
一度消えた所為で、あんまりテンション高くはなかったですが…orz
本当は、これにイシュタール兄弟とかペガサスとか入れようとしてたけど、無理です。
亮とエドがちょっと多いのは趣味です
(キッパリ)
表遊戯総受け・総愛!無印キャラもGXキャラも遊戯を愛しちゃってます!!
ごめん、三沢いれることできなかったよ…(笑/誰に対しての謝罪だ)

あと、1時間。
君達に会えるのを、楽しみにしてる!!



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性別:
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職業:
学生
趣味:
ネット、読書、写真
自己紹介:
腐のつく属性。でもノーマルも大好き。

成人者の高卒者。
最高学歴は専門学校です

熱しやすく、冷めにくい。むしろ、いつも煙はでている(笑)
性格は社会的には真面目(というより面倒見がいいらしい)、でもすごい優柔不断で酷い奴。自分に自信が持てない。


【現在一押しジャンル】


【近状】
高校卒業。
4月から歯科衛生士の専門学校

ブログ統合終わってるのに、いい加減削除しようよ自分。


【在中ジャンル】
遊戯、復活、ギアス、APH、彩雲国、マイネ、鰤、セラムン、ギアス、名探偵、愛盾21、ぬら孫、ポケ、TOA、夏戦争


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