03 欺心は必要だと言い続けていた

幸福論

遊戯王　　

GX最終回までの一週間で書き上げ(連作)
総タイトルは完成後。
各タイトルはサブ。

『それ以上はやめてほしい、武藤遊戯』


誰もいない筈の空間から、声が響く。
ユベルがゆったりと姿を現した。

「ユベ、ル…」

固まっていた十代が驚いて後ろを振り向く。


「君が、彼と一緒にいたんだね」
『そうだ』


突然の姿に驚きもせず、微笑みかける遊戯。
ユベルも嫌悪や十代への執着を見せることなく、答える。
まるで、彼を好いているかの様に。


「君は、わかっているんじゃないかな？」
『…確かに、今の十代は私がいること…そして私を生んでしまったこと、様々なことで変わっている』
「それでいいと、君は思っている？」
『……十代が、幸せなら…』
「本当に、そうなの？」


二人の会話に、十代は反応できず呆然としていた。


『私は、十代が幸せならそれでいい。そして、十代が選んだ道なら』
「それが、彼を失わせると…わかっていても？」
『…………』
「君も、彼の心に一番近いのなら…自然と分かち合うでしょう？」
『あぁ』
「それを、嬉しく…思わない？」
『…思うさ。十代のことをわかってやれて』

無表情だったユベルの顔が僅かに緩む。
十代すら、自分以外に緩んだ顔を見せるユベルをみたことがないのに。


「君と彼は一心同体だね。だけど、故にどうしても重なってしまうよね」
『…あぁ』
「彼の本当に望んでいることがわかっていても、自分以外に知られるのを望まない？」
『…嫉妬だと、わかっている。けれど』
「うん、きっとそれが普通」


二人の会話は緊迫しているように見え、雰囲気は正反対であった。


「でも一緒にいる君だからこそ、気付かせてあげなくちゃ」
『…そうかもしれないな』
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。俺は…」

やっと二人の会話に口を挟められるようになった十代が、慌てて言葉を入れる。


『十代』
「！…なんだよ……」

ユベルがゆっくりとした動作で十代に向き直る

『もう、気付いていいんだ。一人で抱え込むことはしなくても』

『もう、心に偽りをもたせなくても、いいんだ』



切なげに、愛おしげに、悔しげに、嬉しげに、ユベルは言葉を形つくった。





十代の瞳から、一滴の雫が落ちた





＝＝後書き＝＝
あぁ、君が幸せであれと望んだことは嘘じゃない。
でも、君を独占したい心もあったんだ。

でも、それが君の幸せに繋がるかは――…


あれ、ユベ表？(ドマイナー！/むしろ誰もいない)
というか、ユベルと遊戯しかしゃべってないよっ！！

ユベ→←十代→→遊戯　　(どんな構図だ)
　｜＿　＿　＿　＿  ↑


というか、収拾つかなくなってきた。
ど、どうしよう。話数足りないし…。(タイトルに色々やってみたのです/あと2話で完成？無理じゃないか)