禁嬪

ギアス　　(ルルーシュ/星刻/パラレル/切ない)

「星刻」

暗闇の中静かに声が響く
その声に呼ばれたかのように現れたのは、一匹の龍
漆黒を身に宿し、赤の宝珠を持つ、中華連邦の象徴ともいえる龍

その真名を知っているのは、国の象徴たる天子と…もう一人

呼んだ者に擦り寄るように近づく。その二人の姿は、まるで逢瀬の様な雰囲気であった。

『ルルーシュ』

声ともつかぬその音は、静かにその名を呼ぶ。
手を伸ばし、静かに龍の顔を撫でる。
龍もその手に縋る様に近づくが、ある一点に近づいた時その身を退いた。

「…星、刻……？」
『すまない』

それに驚きながらも、傷ついた様な表情のルルーシュに龍は静かに謝った。

『龍の喉の下にある一枚の鱗…逆鱗といわれるものには、決して触れるな』
「どうして？」
『逆鱗に触れれば、どんな者だろうが…お前だろうが、私は己の意に背き噛み殺してしまう』
「そう、なのか…」

拒絶されたのではないとわかったルルーシュは微笑み、再び龍に手を伸ばす。
喉の下を避けて、再び龍を撫でる。
龍は、静かにそのまま傍にあった。

「…もし、」
『もし？』

撫でる手を止め、龍に身を埋めるようにして縋りついたルルーシュの温かみを受けながら、撫でるように風を起こして言葉を促す。

「もし、俺の身に何か起こりそうになったら…俺は迷わずお前の逆鱗に触れる」
『ルルーシュ』

予想外の言葉に、龍はその体を静かに揺らしたがルルーシュは未だ顔を上げず言葉を続ける。

「他のやつに殺されるくらいなら…お前と離れてしまうくらいだったら」

「お前に殺されたほうが、よっぽどいい」

顔を上げたルルーシュの瞳に、雫が溜まっていた。
拭うこともせずただただ涙を流すルルーシュに、龍は何も言えず涙を隠すように雨を降らせた。

その雨は、二人を隠すように降り続けた。



＝＝後書き＝＝
星ルルでパラレル。人間ルルと龍の星刻。
最近読んでる、神獣とかモンスターの本の影響。

●(多分)設定
本編とは違うけど、ルルーシュはブリタニアの皇子(姫)
政治的に人身御供として中華連邦に行かされますが、国同士は冷戦状態。
扱いは日本に人身御供とされた時よりよいです。天子とも仲良いです。
ナナリーとかマリアンヌ様とかは不明です。スザクについては…しらない。

星刻は中華連邦を守護する龍。
真名を知るもののみが呼び出すことができ、本来は代々天子にしかその名を知らすことはない。
龍は複数いるため、天子となるべきものが生まれたときその者を祝福する龍だけが真名を教える。(つまり、天子だからすべての龍の真名を知っているわけではない)
黒龍だからって悪いわけじゃないです。むしろ龍の中では忠誠心は厚い。
人型にもなれますが、あまりならない。なったらなったで剣の腕は一流とか、龍なので頭よいです。
宝珠は中華連邦の象徴色で赤。

出会いは、ルルーシュが中華連邦にきてしばらくたった頃。
皇子(姫)というので、天子とかの目が届かないところで危なかったところを人型になって気まぐれに助けたのが切欠。
その後、何度か会ううちにルルーシュも星刻が人外というのを知るけど二人は変わらず。
最初は真名を教えていなかったが、ルルーシュが龍としっても変わらないので真名を教える(本来は危険なため禁忌とされる)
が、情勢が悪化してきてルルーシュの身にも危険が…といったところ。

ルルーシュは皇子よりも姫設定のほうがいい気がするが、どっちでもいいかな。
裏設定で、他国でありながらルルーシュが生まれた時に祝福したとか、寿命が近づきあと数百年(短くても数百年)で死んでしまうとか、ブリタニアにも人外のC.C.とかV.V.とかいたりしてルルーシュもそれになっちゃうかもしれない…とかあったりするが、これ書くか不明なので割合。