コードギアス Ｏ 忠誠のジェレミア 「オレンジが目覚めるとき」

ギアス　(ジェレミア・アーニャ/R2　25話派生/ほのぼの/ギャグ)

やさしい香りに包まれてと同設定。

太陽が木々に陽を与え、風が柑橘の香りを動かすように吹く。
収穫したばかりのオレンジを籠ごと山積みにして倉庫へと纏める。横に置いてあった小さめの籠を抱え、家に入る。ドアを開けた瞬間、無駄のなかった動きは凍りついたように止まった。その視線の先には、薄桃色の髪を結った少女が。壁に飾られた一枚の絵画を外そうとしていたのである。

「…何を、している…？」

傍から見れば、掃除をするために外そうとしている…と見えなくもないが、少女が自主的にそんなことをやるはずがない。
少女は、入ってきた人物に驚くでもなくただ見返すだけであった。その問いに、やや間を置いてから少女は口を開いた。

「ルル様、奪う」

単語のみの言葉。それでも少女の意味を理解できてしまうのは、共に居る時間が長いからか、それとも根本的な思想が同じだからか……どちらの答えも癪に障るので、答えが出る前に打ち切らせた。
腕についている剣を出し、一気に駆ける。
少女も密かに身に着けていた短剣を取り出し、同じ様に駆けてきた。
振り下ろした剣は、火花を散らすかのごとく澄み切った音を立ててぶつかり合った。
何も知らないものが見れば、死闘をしているかと思うものだが二人にとっては日常茶飯事であった。

「渡さんと、言っているだろう！アームストレイム卿！」
「ずるい」

アーニャが身軽に回転しながら一度身体を引き、勢いをつけるために一度着地する。その瞬間を見逃さぬようにジェレミアは剣を向ける。その剣に空中で僅かに身を退き避ける。着地したアーニャは小柄な身体を生かし一気にジェレミアの懐に入るために加速をつける。それに気付いたジェレミアは跳躍して一気にアーニャの頭上に剣を向けた。それを短刀で受けて力任せに落とすようにする。押し返すように力を込め、二人は弾かれる様に距離が開いた。
一切の無駄の動きがないそれは、まるで舞踏をしているようにも見える。

「いい加減、諦めたらどうだ？」
「負けてない。そっちこそいい加減に渡して」
「断る！」
「諦めるなんて、しない」

緊迫している雰囲気が嘘のように、子供のような口喧嘩が始まる。だが、二人は互いの間合いを取っている状態で、またいつ動き出すかもわからない状態である。

「この絵画は、私が頂いたのだ！」
「ずるい。私は眠ってた」
「記憶を失っていただろう！大体、お前こそ携帯にルルーシュ様の幼い頃と学園の写真を…！」
「撮ったのは、私。だからあげない」

二人が争っているもの…先程アーニャが外そうとしていた一枚の絵画である。そこに描かれているのは、3人。美しい黒髪を流している女性、亜麻色の髪が風に揺られているような少女…そして、艶やかな黒髪に至高の紫を持つ少年の絵画であった。
その絵画は、少年と少女の義理兄が描いたもので正真正銘世界でたった一枚きりの絵画である。そして、少年の絵姿は世界に出回ることはほぼなく、出回ったとしてもそれはその美貌を褒め称える言葉が掛けられる物でもない。
だが、二人はそんな世界の流れとは、思考とは一般的に言えばずれた考えの持ち主であった。よく言えば自分の意思がある、悪く言えば個性が強い…と。
そして、この絵画を巡る争いは365日24時間問わず行なわれている。絵画には畑の維持費よりも倍以上は掛かるセキュリティが掛かっており、世界でも最も手厚いものとなっている…らしい。

互いの間合いを取り、それぞれが窓に手をかけて外へと飛び出す。外に広がるは広大なオレンジ畑…木々とオレンジ以外、二人の争いを邪魔するものもいない。





噂によると、世界一のオレンジには時々切傷が付いたものが混じっているという。





＝＝後書き＝＝
チャットから始まった　「コードギアス　O　忠誠のオレンジ」
R2の続編です(嘘です)　「O」＝オレンジです
絵画はクロヴィス兄様が描いたヴィ家の絵です。でも実はジェレミアはルルのみのものももっています…！(何だと
最後、何が言いたかった…自分orz
続かないですよ。(多分)