19.永遠にも似た、このひととき

＜20000hit感謝企画＞


ぬらりひょんの孫　　(夜若/リクオ/切ない)

 

さやさやと揺らす風を受けながら、静かに目を開ける。
そこには、揺らすものなど何一つない空間…否。

いるはずのない、ある筈のないものがあった。

それは、己。
この空間は、ただあるだけの空間。
そこにいる時は、己すら目を開けることが叶わぬ――無。
占めるのは光でも闇でも、陽でも夜でもない。
それなのに、その空間の中に己がいる。
己が立つ場所のみやや歪み、そこに「ある」ことを示していた。

その歪みの先を見ると、同じ様に歪む空間を見つけた。

そこにいたのは


『己』


己が眠っている時に動く『己』
夜に動く己と違い、陽の下で駆ける『己』
なぜ、どうして…そんな思いが溢れ出す。

後々に考えれば、己が眠っている時はこの空間にいるのだから、己が目覚めた時に『己』がここで眠っていてもなにも不思議はないのだが。


静かに『己』に近づく。
歪みが波紋となって広がり『己』から広がる波紋に重なる。
『己』のもとに近づくにつれ、波紋はぶつかり歪みは更に不規則に歪む。
そんなことも気にせず、ゆっくりと『己』に手を伸ばす。

静かだが確かにある心の音に胸を撫で下ろす。

そして『己』を抱き上げる。
たった一人でいる『己』は何時消えてしまうかわからないように危うかった。
抱き上げ、眠る『己』に顔を向ける。
ある筈のない風が強まり、瞬間目を瞑る。
目を開けても、そこにいる『己』に安堵する。

そして、空間の異変に気づく。

無であった空間に、薄紅の色が舞っていた。


何処から降っているか見当もつかないけれど、それは舞っていた。
その一枚が『己』の髪に落ちる。
ゆっくりと手を伸ばし、唇にあてた。



何時まで続くか、現か幻かもわからぬ時。
けれども、それが永久であるようにと願う。






　誰も知らない、
　　　　　　　　この時を。




＝＝後書き＝＝
共にあるはずがない『己』
幻でも、夢でも、それでも願う。

夜若(リクオ)→昼若(リクオ)


なんのこっち…ですね。すみません(自己嫌悪)
何書きたかったかわからなくなった；；
私の中で昼若＝リクオ呼びで、夜若は夜若と言っています。
遊戯王よりわかりづらいよ！
えーと、二人は同一の存在だけど別意識で…けど、分離はしてないです。
それでも、ありたいと願うことぐらいはいいですよね！(←