2005年6月28日

まだ両の手で数えられるような頃、記憶のある中の最初の我侭がありました。
幼い頃の最初の記憶といってもいいものでしょう。
なにせそれ以外に幼い頃の記憶など私には思い出せないのです。

願ったことは、ただそれが当たり前の日常であるようにということでした。
普通の(普通の定義などわかりませんが。大多数)人たちが当たり前で過ごす日々が欲しかったのです。
涙を流してぐずった言葉に、親の申し訳ないような顔が浮かんでしまうのです。

あぁ、困らせてしまったと。幼心に申し訳なく思ったことも覚えています。
それ以降、思い出話以外でその言葉を言うことはありませんでした。(思い出と話すのだってここ数年だ)
困らせてはいけない。困らせるのは迷惑になる。好かれないとなぜか思いました。

当たり前の『日常』と願った我侭は『特別』になり、
やっと『日常』になるだろうと思った時に、一人は遠くに行きました。
そして間もなく一人はいなくなりました。

最初の我侭は、結局一度も叶えられることも無く、
ただただ今も心の中で想いが残っているのです。
一生叶えられることも無く、ただそれだけが。

私にとって、家族とは血の繋がった母、父、兄でした。
その人たちと、私を含めた4人だけの『家族』で、
ただ住んでいたかったと願った我侭でした。



物語はこれでおしまい。

幸せ、でしたよ？