少しずつ掻き消えるように

ぬら孫　(夜若/シリアス/捏造)

 

誰が言ったか。
認められ、何時しか共に歩む時間が来ると信じていた。
そう、己だけが。
桜は今も変わらずに咲き誇る。ただ、そこに太陽が望む時がなくなっただけ。

「リクオ様？」

聞こえた声は、側近の一人。
その声に、振り向いた姿になんら違和感も持たない笑顔だ。

「どうしました？そろそろ総会ですよ」

この笑顔が、みなの姿が呪わしいなど想う日が来るとは想像もしていなかった。
ただ、誰も知らない。
この世界に記されていない。

「ああ…今、行く」

服も、文字も、学校に行った記録も、何も記されていなかった。
側近も、義兄弟も、配下も誰も知らぬといったのだ。
彼という存在そのものが、表から裏からも抹消されていた。
自分が、自分の記憶だけが知っている。
己の中にある桜すら、その存在を否定したのだ。



(…リクオ……)



――ただ君を想う―



□■後書き□■

リクオという存在が抹消された世界。
夜若しかその存在を知らない。…もしかすると、じいちゃんは覚えているかもしれないが。
何が切欠か、などは書けたら続き書きたいな。

昼若→リクオ
夜若→夜若
って表記が多いです。その内名付ける…かも。


君が消えゆく五題　(追憶の苑)