05：時間が止まってしまえばいいのに (あなたには言えない5題)

マイネリーベ　　(5人/革命後/ほのぼの/切ない)
阿古屋さまへ、捧ぐ。

世界を震撼させた革命後、クーヘンは今までの王政国家を改め、政府と王権の両立を成り立たせ国は急速に復興していった。

ドイツの地となった今でも、その力は健在であり王政・政府ともに同等の力を与え、またそれを纏める為に

革命のトップであったルードヴィッヒが大総統として、また補佐としてシュトラールにオルフェレウス・エドヴァルド・カミユがついた。
ナオジは革命を通し、支援したものだが異国人であこと、また本人の意思によりシュトラールにはならずにいた。

「ルードヴィッヒ！この意見はあまりに行き過ぎだと思うが？」
「何を言っている。先を見ないのは相変わらずだなオルフェレウス」
「ルーイもオルフェさんもやめなよ」

「そうだぞ。にしてもこいつら、ほんとかわんねーな」

「この2人が変わったら、それこそおかしいよエド」

「あー、そうだなー」

「エド…」

「カミユ…」

 

「失礼します、来客です」

その時、来客を知らせる連絡が届き4人は心を逸らせて来客がいる部屋へ向かった。
心持、何時もより早足で歩き、扉を開く。

「お久し振りです、4人とも」

そこには、微笑みを浮かべたナオジがいた。
ナオジは、一時的ではあるがクーヘンの外交官として日本へ行っていたのである。
復興しているとはいえ、まだ情報が不確かな部分…さらに遠い国であれば尚のこと情報が入りにくい。
クーヘン・日本両国から信頼を得ているからこそ、外交官という役職についた。

変わらぬ笑みに、安堵して4人は言葉をかける

「ああ、元気そうだな」
「お帰り、ナオジ」
「久しぶりだな、ナオジ。元気そうで何よりだ」
「お疲れさん。んで、おかえり」

「皆さんこそ、お疲れなのでは？」

「大丈夫だって。それよりさ、またオルフェとルーイが…」

「そうなんだよ、さっきもね！」

「エド、カミユ…今はその話はいいだろう」

「久し振りにナオジが来たのだ、余計な話はするな」

4人の様子に笑みを一層不覚し、そして4人もより生き生きとしながら穏やかな時間を過ごす。

「そういやさ、キリルからも連絡あったんだぜ。あいつ、今色々旅してるんだって」

「お土産も届いたんだ！これ、美味しいんだよ」

「日本の話を聞かせて欲しい。今は秋で紅葉が美しいのだろう？」

「ナオジ、茶を入れてはくれぬか？やはり、お前が入れた茶はどれよりも美味い」

「あ、ずるいルーイ！！ナオジ、僕にも！」

「おいおい、俺にもいれてくれよ」

「私にも頼む、ナオジ」

「えぇ、皆さんの分をご用意しますよ」

 

 

 

 

日も落ち、ナオジは一人自室で空を見上げていた

空を見上げながら、父から聞いた話を思い出す

ドイツとイタリアと同盟

戦争へと進む、裏の道


彼等も国のトップであるから、ある程度の情報は入ってきているであろう。



・・・・・・・・己の帰るべき、場所


「このまま……」

風の音に掻き消され、誰に向けることもなく聞こえることもなく、消えていった言葉。



そうしてしばらく経った後、ナオジが日本へ帰化請求をだしそれが認可された。
帰化請求は王政の方に認可が求められるので、ルーイ達が知ったのは認可されてからであった。

正確に言えば、誰かが゛意図的に゛届かない様にしていた

。外交官という立場であったナオジだが、同じ同盟となるクーヘンは帰化を認め、彼は国へと帰っていった。

何の為に、それは国と深く関わる彼等が知らぬ筈がなかった。

その後、敵国である諜報者から一通の手紙が届けられた。

敵国であるのに何故…と言えば彼は「これは、俺個人に頼まれたものだ」と笑い「次に逢うときは、容赦はしない」と言って去っていった。

 

それは、第二次世界大戦が始まる少し前の話。

 

 

Fin.

＝＝後書き＝＝

阿古屋さま、大変遅くなりまして、本当に申し訳ないです。

「ルイナオでナオジ様と愉快な仲間達なノリ」…ルイナオ…あれ？

歴史とか縁遠いから、なんか色々間違っているかと…；

勉強、しなくては…。

リクエスト頂いた作品…＋1で一応続いてますが…単体でも読めるように…なってますか？(なってないですね)

 

本当にお待たせしました。どうぞ、お受け取り下さい。

追憶の苑（http://farfalle.x0.to/)
あなたには言えない5題　より



08年2月5日