15.好きじゃない、なんて言っても

<20000ヒット感謝企画>


復活　　(ラル/ツナ/未来/捏造/切ない)

その権利は、至福であると同時に残酷なもの　の続きっぽい(読まなくても多分大丈夫)

「っ、触るな…！！」

優しい手を、跳ね除けた。
そろり、と何時も戸惑うように触れる手にらしくなく緊張するのは何時ものことだ。それでも、払うこともしなかったのもまた何時ものこと。
「ラルのこと、好きだよ」と言った。その言葉を聞いた瞬間、無意識に払いのけたのだ。

「オレは、お前のことが好きじゃない！」

叫んでから、逃げるようにその場を去る。
一瞬見えた彼の顔は、今までで最も傷ついたものでも振り返ることもしなかった。

足を忙しく動かし、その場からの距離をとる。けれどその足音すら、絨毯は吸い取ってしまっている。



駄目なんだ、駄目なんだ、駄目なんだ…！



幸か不幸か、誰にも合わない。きっと無意識にその道を選んでいるのだろう。
彼が「好きだ」と言ったのは家族に向ける愛だろう。それでも、それでは駄目なんだ。
錯覚してしまう。勘違いをしてしまう。
自分の思いを、何かと間違えてしまう。

彼は王で、家族だった。それ以上を望んではいけない。望むことは罪。
ましてや、自分はなりそこないだけれどアルコバレーノ。今、アルコバレーノは彼と共にあろうとするものが多い。
家庭教師であるリボーン、独立とした立場に居るはずのコロネロ、特殊的立場のマーモン、敵対しているスカル、ヴェルデ。未だ姿を見せぬアルコバレーノですら、半分以上のアルコバレーノも興味を示しているという。
アルコバレーノはマフィアの世界でも独立した立場に居る。
長い時間、その場所に留まることをしない。してはいけない。一人の力が強大過ぎで、けれど決して己がファミリーのトップに立ったりはしない異質な存在。
それは力の均衡の問題。ボンゴレであろうと、周りの反感を買う。

自分はボンゴレにいる。それでも、10代目に忠誠を誓ったヴァリアーに属しているマーモンよりも更に特殊な位置に。
均衡を保つこと、それは自分達がしなくてはいけない。

それを、揺るがそうとした彼を拒絶した。


喜びであった、悲しみであった、戸惑いであった、それでも嫌いではなかった。


大切だった、何よりも大切になっていた。
その想いは、家族でなければならない。彼を護り支えて慕う家族は山のようにいる。
自分は、彼を正す家族でなければならない。
それが、彼を堕とすことになろうと最後まで彼が最初に求めたものを守るために。

彼との約束を、守るために。


二人だけの約束。残酷な、それでも彼の願い。
彼を、彼であるうちに。最後まで彼であらせるために。

この想いに、封をした。
この想いを、理解しないようにした。

それなのに…、彼は封を歪ませる。



これは、前触れなのだろうか。
彼が、彼でなくなってきた合図なのだろうか。
ギリギリまで、見極める。そうして、最後に約束を守る。


傷ついたと同じくらい、安堵に満ちたあの顔が、まだ嘘であることを願いながら。







＝＝後書き＝＝
そうして、閉幕のブザーが鳴り響く。

壊れてきたツナ。まだ己が己であるうちに。
彼女が約束を忘れて、破らないようにと確認を。

意味がわからない作品。その権利は～と同設定、数年後っぽい…。
見なくても、多分わかる…が、見た方がわかる？
ラルツナが好きです。虹ツナの中で一番好きです。
女の子万歳！！

久々の感謝企画が死前提の切ないってどうですかね、自分…(知らん)