17.溢れ出てくるのはどろどろとした醜い感情

＜20000ヒット感謝企画＞

ギアス　　(星刻/ルルーシュ/本編21話以降/捏造/ダーク)

歪んだ愛に口づけ一つ　の続きっぽいもの。(読まなくても多分大丈夫)

暗闇が視界を覆う。
今は見えぬ隠された瞳は、至高の色と云われる紫。

腕を鎖で繋がれ、ただでさえない体力を奪われ今では本当に吊るされた状態であった。
その目には漆黒の布が巻かれ、広がる世界すらわからない。

カツン、カツン

その場に不釣合いなほど、響く音。
己を繋げる鎖と声以外で聞こえる唯一の音。
その音の先を布の下からも忌々しげに睨むように見やる。


黎星刻


ルルーシュを捕らえ、此処に繋げた人物であった。
意識を失う前、最後に見たその瞳は出会った当初と同じ、けれど何か違うものが渦巻いていた。

「無駄だと言っただろう。いい加減に諦めたらどうだ」
「っ…ふざ、けるな！何が望みだ、お前は！」

笑みを浮かべながらも呆れた様な声に、ルルーシュは声を荒げる。
けれど、喉の渇きからその声は妙に掠れたものになった。

「いい加減にしろ。私の望みは、お前を捕らえた時から何度聞かせた」
「…あ、れがお前の、望み…っ、だと！？」
「そうだ。お前は、ただ此処にあればいい」

隠された視界からも必死に声のする方に向けて声を荒げる。不意に小さく動く気配を感じた後、伸ばされた腕が、ルルーシュの顎を持ち上げ上向きにさせる。
身を強張らせながらも力が入らない為その動きに逆らえない。

そして喉にゆっくりと流れ込む液体に、息が出来ぬ己に驚愕して目を見開く。
けれど、そこにあるのは変わらず漆黒の布に覆われた世界。
口に入り込む液体に、必死で離そうとしても動けぬまま、酸素を求めて喉が動き、液体が全て嚥下されるまでそれは続いた。

やっと離されたものの、力が抜けて全て重力と鎖に身を任せた状態で大きく酸素を吸う。
蒸せながらも、喉を通っていったものは何一つ戻らない。

「な、に…を…」
「死なれては困る。お前は、此処にいろ」
「…き、さまは…何がした、い」
「何度言えばわかる。お前が欲しい。それだけだ」

声だけの世界。
その声に震えるのは、恐怖だからか、それとも何か別の要因であったのだろうか。

さっきの液体に睡眠薬でも混ぜられていたのか、瞼が落ちてくるのを感じながら必死に音のした方向に首を向ける。
それでも、動かぬ人の名を小さく呟く。

「しん、く…」


薄れ行く意識の中、口に残る僅かな鉄の味に顔を顰めた。

完全に落ちる身体から鎖を外し、星刻は腕の中にその身体を抱きこむ。
それは、世界で最も壊れやすいものを抱き締めるように、優しい動きであった。

暗闇に隠され、誰も見ることのない星刻のその笑みを知るものはいない。






＝＝後書き＝＝
囚われたのは、どちらであったか。

あれ、キス作品初じゃないか？自分。(キスって言っていいか微妙だが
それなのに、ダーク。自分は何処まで変わりそうにないなぁ…(苦笑
ヤンデレ星刻。星刻→ルル。

星刻はルルが欲しいのです。(それはわかった
皇帝として現れて戦闘中に捕らえて、こっそりと幽閉してます。他の誰も知らない場所に。
最初は目隠しではなかったけど、ギアスあるから。本編あれがコンタクトなんて信じない(どうよそれ
コンタクトだったら、腕拘束してる時点でいいんですけど、監禁っていったら目隠しに鎖で手錠じゃないですか！(間違った知識
捕らえたことも誰にも言わず、皇帝ルルは行方不明です。
鉄の味…に星刻の病気を織り交ぜてみた。(酷い